インドネシア建設用地・土地探し | 敷地・工業団地選定における流れと注意点

11月 20日, 2023

2021年版 インドネシア建設用地・土地探し | 敷地・工業団地選定における流れと注意点
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*2023年11月20日更新(2021年10月17日公開)

「インドネシアの商習慣がわからない」

どのような土地を選べばよいのか?」

そんな疑問や不安をお持ちではありませんでしょうか?

アセアン経済を牽引する巨大市場を持つインドネシアへ進出する企業は益々増加しています。しかし、外国人の不動産所有形態に関する規制が、数年ごとに変更される土地取得に関する手続きは、不透明な点が多く、多くの方が悩まれています。。

インドネシア・ジャカルタ近郊における工場・倉庫用地の購入支援、工業団地の調査など、インドネシアでの建設計画を検討される方へ向けたインドネシア建設用地・土地探し 、敷地・工業団地選定における流れと注意点をまとめました。

本記事は、マレーシア・クアラルンプールで建設コンサルタントとしてプロジェクトマネジメント、コンストラクションマネジメントを提供するPlus PM Consultant Sdn. Bhd.が作成したものです。

インドネシア建設用地取得の概要 ・土地所有権について

土地の購入はできるのか?

土地の所有権は、インドネシア国籍を所有する個人の権利であり、外国人は土地を購入することはできません。これはインドネシアの政策によるものです。

事業権、建設権は、インドネシア国民またはインドネシア法に基づき設立され、インドネシア国内に本拠のある法人であれば保持することができます。

使用権は、上記の通り、インドネシア国内に本拠を有する法人に加えて、インドネシアに居住する外国人およびインドネシアに駐在員事務所を持つ外国企業にも保有が認められています。

事業権(HGU:Hak Guna Usaha)

農業用・水産及び畜産用の権利。原則は最長25年認められ、さらに25年の延長が可能。企業や事業によって長期間必要であれば最長35年のHGUが認められる場合がある。ただし、この権利は工業地域のみに適応され、工業地域以外の場合にはこの通りでない場合があります。

建設権(HGB:Hak Guna Bangunan)
土地の上に建物を建設しそれ所有する権利。所有者のいない土地に最長30年まで建物を建設し所有できる権利。最長20年間延長可能。ただし、この権利は工業地域のみに適応され、工業地域以外の場合にはこの通りでない場合があります。

使用権(HP: Hak Pakai)
国が直接管理する土地、または権限のある当局によって権利を認める決定もしくは土地利用契約に規定された権利と義務を付与する者が所有する土地で、法の精神と条項に抵触しない限り、それを利用し、生産物を収穫する権利。

その他:使用権、借地権、開墾権、林産物徴収権

インドネシア投資調整庁日本事務所(BKPM):「インドネシアの基本情報:土地所有権」より引用

よって、外国人は現地にて法人を設立し、上記権利を有することで、特定期間中にインドネシアの土地を使用する事ができます。

どのような土地を選ぶべきか?

外国企業様にとって最適な建設用地選定方法は、「工業団地を運営するデベロッパーから、建設用途に適うエリアの区画を購入する」ことを推奨します。

なぜ工業団地なのか?

インドネシアでは、以下の理由から既存都市内での再開発事業や、山林を切り拓いて新しく造成地に建設する事業計画は困難となります。

  1. 再開発事業は、権利関係が複雑であり、権利書の内容が実際と異なる等、その真偽も不明確なため、土地取得が困難となる場合があります。
  2. 造成事業は、政府や地権者との繋がり、不動産開発の知識、業務に対応できる現地専門家(口利き)が必要となります。
  3. インドネシア政府は、製造業施設の建設用地を工業団地内に限定しています。

したがって、一般的に、外国企業は政府との開発協議を経て整備された工業団地内の土地を選定することが多くなります。

ジャカルタ近郊の工業団地

工業団地は、大手財閥単独あるいは日系大手商社と共同出資し運営をしています。
国の総合計画に基づく開発許可を受け、政府とデベロッパーの間で土地用途や規制、権利関係が予め明確に定義されています。ジャカルタ近郊では、MM2100、DELTAMAS(GIIC)、KIIC、SRYACIPTAといった工業団地などは日系商社が運営に関わっており、ローカル主体のものはLIPPO CIKARANG、JABABEKAなどが挙げられます。

ジャカルタ周辺エリアの工業団地(出展:インドネシア投資調整庁日本事務所(BKPM):工業団地資料より抜粋)

出典:https://www.wowshack.com/fascinating-map-of-special-economics-zones-and-industrial-parks-in-indonesia/

土地取得の手続きの流れ

先に工業団地は、国の総合計画に基づく開発許可を受けていることを説明しましたが、政府が各エリアへ個別に事業許可を出すため、建設用地取得や建設のフローは、各工業団地で異なります。

よって、土地選定時には、各工業団地の特徴の把握、施設コンセプトが実現可能かの確認、運用規定を踏まえた建設用地の比較検討が必要です。

インドネシア建設用地取得方法、土地取得手続きの流れは一般的に以下のようになります。

STEP1物件の選定(評価基準の確認)
STEP2物件の見学、 土地役所への確認
STEP3 関連書類の審査
STEP4 売主と価格・条件等、物件引き渡し条件の確認
STEP5 土地証書作成官による土地権利書の確認
STEP6 所得税・名義変更料の納付
STEP7 土地譲渡証書の作成
・土地費用の支払い(分割払い回数は通常3~5回)
・証書署名(完済が確認されて初めて土地譲渡証書に双方が署名し、売買成立)
・権利書の名義変更
STEP8 建設権(HGB)取得

事前に把握すべき建設用地選定のポイント

1)土地選定時:施設配置計画に影響のある周辺環境・インフラの確認
設計・建設段階で問題が発生しないよう、下記内容を確認する必要があります。ここで要件を確認しない場合、最悪プロジェクトが中断してしまうので注意が必要です。

  • 周辺環境
  • 河川や池・沼、造成前の地籍
  • 高低差
  • インフラ(電気・ガス・上下水道、工業廃水施設など)
  • 緑化エリアや都市計画上の規制、セットバック
  • 建蔽率、容積率、高さ制限等
  • 法的要件

2)土地選定後:建設用地取得や建設のフロー
土地選定後、購入予約・前払い金の支払い、土地証書作成官による土地権利書の確認、土地売買契約、土地代の支払い、さらに不動産譲渡証書作成を経て建設権(HGB)を取得できます。
また、インドネシアの特徴的な建築申請手続きのフローとして、土地代の支払いが完了すると建築許可(PBG)や環境申請(UKL/UPLもしくはAMDAL)の許認可申請の手続きが可能になり、建設工事の手続きへと進み、竣工後にSLFの申請をします。

3)登記おける注意点について
インドネシアにも登記制度はありますが、日本と異なり、一般には公開されていないため、登記上の権利者に対して開示を要求することになります。

土地の登記簿は、管轄の土地局において作成・管理されています。また地方においては、 アダットと呼ばれる、未登記の土地が多く存在することも珍しくありません。

一般的に登記に要する期間は比較的長く、 また未登記のままの土地が特に郊外や地方において多く存在することから、土地の権利関係の調査は慎重に行う必要があります。

不動産鑑定について

不動産鑑定士は、財務省Ministry of Finance(Kementerian Keuangan)に認可される国家資格です。

鑑定基準は、インドネシア職業鑑定士協会(MAPPI:Masyarakat Profesi Penilai Indonesia)によって定められ、鑑定評価基準SPI(Standar Penilaian Indonesia)にて鑑定されます。

インドネシアでは、グローバル化に対する意識が強く、早くから積極的に国際評価基準(IVS:International Valuation Standards)を参照してインドネシア評価基準(SPI:Standard Penilaian Indonesia)を作成している背景があります。

しかし一方でインドネシアの土地制度には、アダットと呼ばれるローカルの慣習が根強く、鑑定基準を確認することが重要です。

不動産瑕疵について

日本の法律で規定されている重要事項説明(宅地建物取引業者が土地・建物の売買や仲介などをする際に、契約前に行うことを義務付けられている説明)の義務もインドネシアではありません。

不動産の瑕疵に関しては、購入する物件の状態を精査確認するのは買主の責任となります。

契約締結後に見つかった物件の欠陥については、たとえ買主が申し立てやそれらを根拠に契約を破棄する法的権利を持っていたとしても、それらを行使することは現実には非常に困難となる場合が多いです。

土地取得における税金および費用について

土地取得にかかる費用は以下となります。

税金および費用割合
土地・建物取得税(所得税・名義変更料)5%
土地証書の売買1%
弁護士費用0.50%~1.50%
登記費用(事務手数料と印紙税を含む)0.20%
固定資産税0.1~0.3%
不動産エージェント費用
※一般的には売り手が支払います。
※買い手、または売り手持ちとなりますが、両者が支払うことはありません。
5%

インドネシア工業団地

国際機関日本アセアンセンターにて、インドネシアの工業団地リスト List of Industrial Parks (Indonesia)がまとめられています。クリックすると国際機関日本アセアンセンターサイトへ移動します。

引用:国際機関日本アセアンセンター  インドネシアの工業団地リスト List of Industrial Parks (Indonesia)

結論、まとめ

  • 土地の所有権は、インドネシア国籍を所有する個人の権利であり、外国人は土地を購入することはできない
  • 外国人は現地にて法人を設立し、通常、建設権を利用することで、特定期間中にインドネシアの土地を使用することができる
  • 「工業団地を運営するデベロッパーから、建設用途に適うエリアの区画を購入する」ことを推奨する
  • 土地選定時では、施設配置計画に影響のある周辺環境・インフラの確認が重要
  • 契約後に売主に対し瑕疵担保責任追及を行うことは非常に難しくなるため、事業主が主体的にリスクを排除する

インドネシアへ建設投資をご検討中の皆様へ、

インドネシアでの土地取得は、不動産会社から紹介いただく方法が一般的です。しかし、複数の候補地から工業団地の特性を理解し、最適な建設用地を選定、早期にプロジェクトのリスクを排除するためには、土地取得だけでなく、設計・入札・建設段階を見越して検討できる専門家を活用することをお勧めいたします。

現地でのマネジメント実績のあるプロジェクト・マネジメント会社を活用することで、プロジェクト全体を最後まで見据えたリスクマネジメントとコスト削減、スケジュール短縮が可能です。

Plus PM Consultant Sdn. Bhd.は建設コンサルタントとしてコンストラクションマネジメントの手法を用いてプロジェクトマネジメントをさせて頂いております。
工場建設、倉庫建設、コンドミニアム建設、ホテル等、あらゆる建設事業に対応します。建設だけに限らす、建設投資全般に関する建設コンサルタント業務、敷地選定コンサルティングサービスも提供しております。ぜひ、ご相談ください。

本記事はPlus PM Consultant Sdn. Bhd.がインドネシア現地の取材、および以下参考・参照の情報をもとに作成しています。
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