マレーシアでの消防申請

9月 19日, 2023

2021年版 マレーシアにおける消防申請の流れと注意点について fire certificate bomba application
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*2023年9月19日更新(2021年9月2日公開)

「マレーシアにおける消防申請の流れがわからない」
「消防申請の種類や申請の全体像が知りたい」
「増改築工事時の消防要件の注意点について知りたい

そんな疑問や不安をお持ちではありませんでしょうか?

前回までに、マレーシア建設許認可申請の進め方開発申請(DO申請)建築確認申請(BP申請)についてお話をしてきました。今回は、マレーシアの建築申請のプロセスにおけるマレーシアにおける消防申請の流れ(fire certificate bomba applicationについて解説致します。

本記事は、マレーシア・クアラルンプールで建設コンサルタントとしてプロジェクトマネジメント、コンストラクションマネジメントを提供し、企業様のアセアン進出・事業拡大を支援するPlus PM Consultant Sdn. Bhd.が作成したものです。

マレーシアの消防申請とは?

ある一定規模・用途の建物において建築申請のプロセスの中で消防申請が必要となります。マレーシアでは消防申請をBOMBA申請と呼びます。BOMBAはマレー語で消防という意味です。

マレーシア消防法は各州地方政府が定めた建築条例UBBL(LAWS OF MALAYSIA UNIFORM BUILDING BY-LAWS)とMSMalaysian Standard)に基づき、各州地方政府が各個に運用しています。よって、州ごとに規制を調べる必要があります。

マレーシア消防法は英式British Standardの法体系を継承しており、Passive Fire ProtectionActive Fire Protectionと呼ばれる2つの消防活動方法から成り立っています。

BOMBA申請も上記つの消防活動方法に沿ってPassive Fire申請Active Fire申請の2つで構成されています。

消防申請の種類と消防設備の分類

前述の通り、消防申請の手続きにはPassive Fire申請とActive Fire申請があります。また特殊もしくは大規模な計画の場合、PBA(Performance Based Approach 申請で対応します。ここでは、主たる3つの申請と各申請に関係する消防設備について説明します。

Passive Fire申請とは?

Passive Fire Protectionは、耐火性の壁と床を使用して建物を区画化し、火災が急速に広がるのを防ぎ、建物内の人々が外部に安全に退避するルートと避難距離を定め、消火活動が円滑な実施を可能にするための基準を満たす事が必要で、Passive Fire申請は以下の設備が法順守しているかどうかを確認します。

2021年版 マレーシアにおける消防申請の流れについて | BOMBA submission Passive Fire Protection Active Fire Protection
  • 延焼を抑える防火区画(防火壁や扉)
  • 安全に避難するルートと距離
  • 避難に必要な誘導灯、非常灯
  • 消火活動(消防車)に必要な建物周囲の道路
  • 消火活動に必要な外部消火栓 

 など

Active Fire申請とは?

Active Fire Protectionは、火災が発生時に消火活動(Active)を行う消火システムの総称です。Active Fire申請では以下の 設備が法順守しているかどうかを確認します。

2021年版 マレーシアにおける消防申請の流れについて | BOMBA submission Passive Fire Protection Active Fire Protection
  • 消火器
  • 消防ホースリール
  • 火災警報システム
  • スプリンクラー
  • 屋内消火栓システム
  • 連結送水管

 など

PBA (Performance Based Approach )申請 とは?

消防申請には、Passive Fire申請やActive Fire申請以外にもう一つPBA申請という消防申請があります。

PBA申請は、建築基準で定めた区画制限や消防設備制限によって達成できない吹き抜け空間や大空間の建築を設計する場合、区画基準と避難距離等の要件を性能面で確認し、審査する方法です。

消防申請の流れ

消防申請は、BOMBA Passive申請からBOMBA Active申請の順序で行います。BOMBA Passive申請は建築申請(BP申請)と同時進行で行い、BOMBA Active申請は建築審査 (BP承認) 後に行います。

各消防申請が完了し建築工事完了後、消防検査を行い、問題が無ければ消防審査の検査済証が発行されます。

Performance Based Approach申請を行う場合は、Passive Fire申請とBP申請が承認(別の手順も有る)された後に、消防本庁と協議のもと火災発生シミュレーションを行い安全性の検証を行います。現場での消防検査では実際に現場で煙などを発生させ、シミュレーション通りに機能するか検証を行います。

PBAありの場合

with-PBA


PBAなしの場合

without-PBA

増改築・用途変更時の消防申請上の注意点

新築の建築申請の際には、設計士が法規上必要な設計と役所申請、検査まで一貫して行うため問題は特に発生しません。しかし、既存工場の増改築を行う場合や既存工場の用途を変更する場合には、注意が必要です。

増改築時における注意

マレーシア消防基準は年々厳しい方向に改正されます。

例えば、セランゴール州では2012年にマレーシアの建築基準法であるUBBLが改正されました。(UBBL Pindaan 2012)。これに伴い、2012年以前の現行法規に準じていない工場の増改築を行う場合、新消防法規の基準に是正しなくてはならない可能性があります。

既存建物の増築改築申請する時に、古い建築も新しい消防法規の適用を受ける場合があり、消防設備を追加や既存遡及工事を命じられるケースがあります。

用途変更時における注意点

既存工場の用途を変更する場合、既存の消火設備では不十分な場合があります。

例えば、高圧受電室、ガス庫、薬品等を保管する倉庫等を建物内外に設置する場合、通常の水による消火設備では対処できません。建物間に離隔距離を確保するか、耐火区画を設置し、消火設備としてCO2やフッ素系のガス等のスプリンクラー以外の消火設備の追加工事が必要となります。

結論、まとめ

  • マレーシアの消防法は、Passive Fire ProtectionとActive Fire Protectionという2つの防火設計コンセプトに基づき、2つの申請プロセスがある
  • 特殊な用途・施設に対し、Performance Based Approach (PBA)を採用することができる
  • 既存の建物から増改築や用途変更を計画する際には、消防計画を再検討・確認する
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Plus PM Consultant Sdn. Bhd.は建設コンサルタントとしてコンストラクションマネジメントの手法を用いてプロジェクトマネジメントをさせて頂いております。
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本記事はPlus PM Consultant Sdn. Bhd.がマレーシア現地の取材、および以下参考・参照の情報をもとに作成しています。
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